それでも、やっぱり君が好き。
「な、なるべく指、触れないでほしい、な……」
「分かった」
真剣な目で涼峰さんの目を見てみると、やっぱり目は合わせてくれないけど、前よりはましになったかなとやっぱり感じる。
彼女が時間をかけて伸ばしてきた手の先には、茶色いクラフト紙みたいな色の薄い封筒。
制服のポケットに入れてきたせいか、軽い折り線が付いていた。
……涼峰さん、大丈夫かなぁ……。
今すぐにでもやめたい気分だが彼女の頑張りは応援したい。
うむむ……。
そう思いつつも手を伸ばしてしまうオレは、やっぱり嬉しいのだろう。
彼女が努力してくれていることが。
指が触れないよう、たまに横から見たりしながらなんとか封筒を受け取ると、彼女が持っていた部分が重さに耐えられずガクッと折れた。
その部分を手で持ち直しながら封を開けると、中には野口さんや銀色のコイン。
誰もが欲しがるであろう物が入っていた。
「え、お金……!? ……あ、課金の!? いいよ別に、オレがやらせたようなもんだし」
実を言うとお金が消えるのはかなり痛いけど、なんでか見栄を張ってしまう。
昔からそうなんだよなー……。この癖、直さなきゃいつか損する。いや、もうしてるだろうけど。
涼峰さんはふるふると首を振った。
「いいのっ。……これ、礼儀でしょ……?」
きちんと礼儀を守る。
涼峰さんについてまた、知れた。
涼峰さん情報少ないから自分で探していくしかねぇんだよな。