それでも、やっぱり君が好き。
 

 絶対誰にも言うなよ、言ったら、と言おうとしたオレに、勇輝がこそっと耳打ちをしてきた。


「ミナにその子のこと、教えてもらえば? 知ってるかもしれないし」



 ……教えてもらう、ねぇ。


 いつものオレならそんなことはしない。



 だけど彼女が本当に男子嫌いなのならば、少しくらい彼女のことを知っていたほうがいいかもしれない。




 それに、無条件で知られてしまったのなら。


 協力してもらうくらい、バチは当たらないよな?


 女子だし。女子だし。



 『凛ちゃん』と親しげだし、凛の事、色々知ってるかもしれない!



 この際情報提供してもらおう!



 丁度悩んでたところに来てくれてサンキュー、ミナ!




 まだ凛のことを知っているかも分からないのに、情報提供するとも言われていないのに喜んでしまった。


 ミナは可愛らしく小さな舌をちろりと出して「てへっ」と笑い、手をひらひらと振った。



「聞こえちゃったんだよね﹏﹏。ごめんね?」


「フッ。それは、まぁいい。が!」



 急にキャラが変わったオレを、ミナは若干「え、何コイツ」みたいな目で見ていた。


 ……ボケだから突っ込んで欲しかった。



 オレはミナに向かって手を合わせ、目をぎゅっ、とつぶる。



 そして小声で言った。




「凛のことを教えてくれ!!」


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