それでも、やっぱり君が好き。
「今回の議題は『何を質問するか』!! 何か意見ある人は手を上げてくださーい」
伊達眼鏡をかけたオレのチビ分身が司会となり、会議を進める。
オレの脳内会議は、オレのミニ分身がたくさんいて、意見を出し合い決めるというものだ。
ちなみに脳内会議は人それぞれ違う。
途端にあちらこちらで手が上がり、ざわざわと喋る声も大きくなってきた。
「ここはシンプルに好きな食べ物を」
「誕生日とか」
「いや、住所がいいんじゃねーか?」
「住所知ってどうするつもりだっつーの。家行くのかよ」
「それともストーキングか?」
すぐに会議ではなく討論会になってしまう。
十分に意見を出したころ、司会の後ろのホワイトボードに俺のミニ分身が一生懸命に文字を書いていた。
と、その時。
ピカーン
会議室の天井に付けられている豆電球が眩しい光を放った。
「そうだ、あれを聞いてみなくちゃいけないんじゃないか!?」
立ち上がって一人が言うと、周りも立ち上がって「そうだそうだー」と連呼する。
「よし、意見がまとまったぞー!」
司会が言うと、オレは普通に、いつも喋るみたいに口を開いた。
この後のことなんて考えもせずに。