それでも、やっぱり君が好き。
 

 「今回の議題は『何を質問するか』!! 何か意見ある人は手を上げてくださーい」



 伊達眼鏡をかけたオレのチビ分身が司会となり、会議を進める。



 オレの脳内会議は、オレのミニ分身がたくさんいて、意見を出し合い決めるというものだ。


 ちなみに脳内会議は人それぞれ違う。




 途端にあちらこちらで手が上がり、ざわざわと喋る声も大きくなってきた。



「ここはシンプルに好きな食べ物を」


「誕生日とか」


「いや、住所がいいんじゃねーか?」


「住所知ってどうするつもりだっつーの。家行くのかよ」


「それともストーキングか?」



 すぐに会議ではなく討論会になってしまう。



 十分に意見を出したころ、司会の後ろのホワイトボードに俺のミニ分身が一生懸命に文字を書いていた。



と、その時。




ピカーン




 会議室の天井に付けられている豆電球が眩しい光を放った。



「そうだ、あれを聞いてみなくちゃいけないんじゃないか!?」



 立ち上がって一人が言うと、周りも立ち上がって「そうだそうだー」と連呼する。



「よし、意見がまとまったぞー!」



 司会が言うと、オレは普通に、いつも喋るみたいに口を開いた。


 
 この後のことなんて考えもせずに。

< 17 / 105 >

この作品をシェア

pagetop