それでも、やっぱり君が好き。
 

 ……とは、言っても。



 前を歩く彼女達は楽しそうに笑い合って喋っている。


 さっき声をかけてきたポニーテールの女子だって、オレに投げかけたあの冷ややかな視線はどこへやら。


 笑うと可愛いということが分かった。



 いくらオレでも、この中に割り込むことができるほどひどい奴ではない。


 この間にもB組までの距離は縮まるばかり。


 くそ……っ!



 悔しげに足元の廊下を睨みつけた時。



 薄紫色のハンカチが、ひらりと廊下に舞った。




 オレはすっとハンカチを拾った。


 心臓が期待でドクン、ドクンと規則正しい音をたてる。



 それを隠すように笑顔で彼女たちに声をかけた。


 落とし物なのだから、今声をかけたら『いい人』認識されるという一石二鳥。


 オレには良い事しかない。



「ハンカチ、落としたよ」



 え、と彼女たちが振りむく中、凛はさっきまでの笑顔が嘘のように強張った顔。



 凛以外の女子4人が顔を見合わせ、



「あたしのじゃなーい」


「うちもうちも」



 などと言っていた。




 ってことは――――――――!!



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