それでも、やっぱり君が好き。
けれどただ一人、ポニーテールの女子がオレを静かな瞳で見つめて残っていた。
「……どうした、行かないのか?」
尋ねるのには答えずに、彼女はゆっくりとピンク色の唇を開いた。
「今ので分かったでしょ? 凛は朝倉みたいなタイプが一番嫌いなの。さっさと諦めて」
な、何だと……!?
オレみたいなタイプが一番嫌い!?
なぜか言葉を発しなくてはと思い、咄嗟に叫んだ。
「オレはっ……!」
だが彼女は俺の言葉を聞く気など微塵(ミジン)も無いようで、すぐに別れを告げた。
「じゃあ」
相変わらず俺に冷ややかな視線を送り、小走りでポニーテールを揺らしながら廊下の角に消えていった。
胸も微かに揺れていたが、今はそんなことなんかどうでもよかった。