それでも、やっぱり君が好き。
* * *
「ただいまー」
おかえりー、とリビングから母の声が聞こえる。
オレは脱いだ靴を揃えないまま、広いとも言えない廊下を歩いて自分の部屋に向かった。
ガチャっと音をたて、ドアがオレを招き入れるように簡単に開いた。
入った瞬間、いつもの見慣れた光景に安心する自分がいる。
うちはマンションだし、そう広くはない自分だけの部屋だけど。
「はぁー……」
オレは鞄を散らかった床に放り出し、ベットに倒れこむ。
このベットが広くない部屋にあるおかげで、約半分のスペースが失われてしまっている。