それでも、やっぱり君が好き。
そこには女子二人――――――涼峰凛と天宮茜(アマミヤアカネ)が扉の前に立ち、オレを鋭い目つきで睨みつけていた。
正しくは茜だけだが。
凛は昨日と変わらない、 肩甲骨より少し長い栗色の髪から白いリボンが覗いているのが特徴の姿。
青い顔で茜のブレザーの裾を握っていた。か、かわいい。
茜も昨日と変わらない、揺れるポニーテールが特徴の姿。
ただ一つ昨日と違うのは、茜から湧き出るどす黒いオーラ。
すっごく怖い。なんで怒ってんの。
まるで悪人から凛を守るみたいに凛の前に仁王立ちしている。
って、そうしたらオレ悪人?
オレは茜から目を逸らし、凛を見た。
だけど俺は何と言ったらいいかわからず、
「涼峰凛さん、だよね?」
この場面でこんなことを言っている人を見たら、オレはきっと突っ込んでしまうだろう。
でも、それくらいオレは柄にも合わず緊張していた。
凛は茜の後ろで小さくなったまま、軽く頷(ウナズ)きながら言った。
「は……は……い……」