それでも、やっぱり君が好き。


「……っ、絶対、む、り、だよっ……。治せ……な、い」



 カチン。


 ネガティブすぎる凛の発言に、オレは思わずカチンときた。



「オレが治すって言ったら治すんだよ! おう、卒業するまでにはバッチシ喋れるくらいまでにしてやるし!」



 思いっきり、久しぶりの大声で言ってやった。



 しばらく二人は唖然とオレを見つめていて、その数十秒がとてつもなく永い時間に感じられた。



「ふっ……はは……はははっ。朝倉、自信満々ね」



 今まで沈黙を貫いてきた茜が、笑った。

 
 心底おかしそうに、両手でお腹を抱えて。



 コイツ笑うの!?

 いや、まぁ笑うっちゃ笑うんだろうけど。



 こんな感じで、オレに向かって笑うことはないと思っていた。


 そしてそれが結構可愛い。まぁ、凛のが可愛いけど。

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