それでも、やっぱり君が好き。
 オレは暑苦しい男達を視界に入れないよう、心掛けながら前を見つめた。


 いつ見ても、という言い方は、まだ少しの時間しか見ていないからおかしいのだが……彼女の周りには必ず女子がいる。



 その女子達でも、あの子を見つめて頬を赤く染めている人も少なくはない。


 ていうかそういうことが言いたいんじゃなくて、喋りかける暇がないのだ。


                  
 どうしたら話せるんだ……と考えながら、教室の扉を背凭(セモタ)れにしゃがみ込む。


 いきなり座り込んだオレに、廊下に立つ人達は異様の目を向けた。

 だけど、周りの目なんて気にしない。



 どうしたら、どうしたら……喋れるんだ?


  
 他のクラスということがこんなにも大変だという事を初めて知った。



 でも、いいんだ。


 漫画のように、次々と壁が出てくる恋愛がしたいから。

               
 そんな恋愛をすることが、オレが侑(ユウ)に出来る唯一の償いだから。



 それに、違うクラスだから何なんだ。


 さっきみたいに自己紹介して、話せばいいだろ!

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