それでも、やっぱり君が好き。
茜は少し鼻息を荒くさせて涼峰さんに擦り寄った。
茜の変貌っぷりにかなり引く。
「いいの、いいの。凛なら何でも許してあげる」
「オイ、許してあげるってオレが払うんだぞ!?」
遂に抑え切れなくなり、大きな声でツッコミを入れた。
すると茜は妖艶な笑みを浮かべ、まだ頬の赤みの残る顔をオレの顔に近付けた。
不覚にもドキッ、と胸が一瞬暴れる。
「凛の機嫌を損ねたら、もう一緒に入れないかもしれないけど……?」
ちょっと、さっき興奮していた名残で吐息が熱い。
やめてくれー。オレには、涼峰さんという心に決めた人が……!
それだけでドキッとしてしまうのは健全な男子高校生だから仕方が無いけれど、やっぱり沈んだ。
「はぁ……わーったよ。ただし、あまり大きな金額にならないようにしろよ」
「あっ…! あり、がとうぅ……」
一瞬、涼峰さんの顔がぱあぁと輝いたのを見てしまったら、もう金などどうでもよく思えてきてしまうのは涼峰による天然の魔法なのか。
金は大事だけど、涼峰さんの為ならいいぜっ! ……みたいな感じになっちまう。
また、可愛らしい笑顔と共に鼻歌が流れる。
見ていると、嬉しそうになったり赤くなったり震えたりと、見ていて飽きない。めっちゃ可愛い。
そんな感じで、今日も一日が過ぎていった。