それでも、やっぱり君が好き。
「ただいま」
鍵を掛けていないドアを開いてから、するっと運動靴から足を抜く。
水を飲みたくて、珍しくリビングに直行した。
リビングには母と姉がそれぞれ色々なことをしていたが、母はオレの姿を見るとおかえり、と声をかけてくれた。
母は、高校の息子がいる割には若いと思う。
友達にはかなりの数、「若いね」と言われた。
そんな母は、食事をする席でなにかの雑誌を見ている。
姉は自分と同じ茶髪だが、今日はストレートの綺麗な髪を緩く二つに結くヘアスタイルだった。
ピンクのケータイを耳に引っ付けながら大きな声で、友達だろうか。
テレビの前のソファで足をぶらぶらさせながら喋っている。
オレはテレビを背にして、低いテーブルの前にあぐらをかいた。
「あー、疲れた」
ランニングに疲れたと言うのもあるけれど、一日に疲れた。
勇輝との事もあるし、涼峰さんのやったシミレーションゲーム。
決してつまらなかったんじゃない。
楽しくても、疲れたということはある、だろ。