それでも、やっぱり君が好き。
声だけでチャラそうだと分かる、男の声が聞こえた。
なんとなく、声だけで今している表情も頭に浮かぶ。
涼峰、凛……!?
男に声をかけられているんだ。
そろり、そろりと忍び足で壁の角に顔をひっつける。
そして、なるべく顔が壁から見えないように、目だけ出した。
多分きっと、髪の毛とか頬とか出てると思うけど。
そこで見えたのは四人のチャラい男達に囲まれている、二人。
青い顔で震えている涼峰さんと、キッと男達を睨む茜。
涼峰さん達に声をかけているのは二人だけで、残りの二人は煙草を吸ったり、その様子を見ているだけだった。
茜、すげぇ……あんな男達を相手にあんな睨んでる――――――と思ったが、よく見ると涼峰さんの手を握る茜の手が震えている。
そんな彼女達を見ながら、銀色に光るピアスをした男が言った。
「……聞いてるんだけど?」
ズボンに手を突っ込んで言う、銀色のピアスをした不良。
それだけで、彼女達の恐怖心を揺さぶるのは満足だった。
余計震えだした涼峰さんを、茜はガクガクする足で懸命に立って支えている。
そんな仕草は姉のようだ。