それでも、やっぱり君が好き。
 壁に寄り掛かって座っていたら、上から女子のオレを呼ぶ声が声が聞こえた。


   
「ちょっと、朝倉」


「……え?」


 急に名前を呼ばれ、驚いて上を向く。



 するとそこにあった、教室のドアから出た顔は、彼女と楽しそうに喋っていた黒髪のポニーテールの女子。


 普通に可愛らしい顔立ちで、あまりメイクも濃くない。


 だが、俺を見る目線はとても冷たい氷のようで、睨んでいるとも言えるほど。


 声もそうだったが、ちょっと不機嫌そうな、ツンツンした態度だ。



 ……てかこいつ誰だよ。なぜかあっちはオレの名前知ってるし。



 ポニーテールの女子は大きめの胸の下で腕を組み、ちらっと教室を見てからオレに向き直った。


 
「朝倉さ、凛のこと好き?」


「好き!?」



 思わず『好き』というワードに反応してしまった。



 もしかして凛、って……彼女のことか? 


 やった、名前知れた。


 ……じゃなくて、気付かれてたんだ。この女子にも。



 っていうかいきなりなんてことを聞きやがるんだよコイツ。初対面だよな。

 

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