それでも、やっぱり君が好き。
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クラスにいる時のようなおちゃらけた雰囲気は影もなく。
オレは、目の前の不良を睨んでいた。
だが、こんがり焼けたトーストのような顔の色の男は、オレと反対に余裕のよっちゃんな笑み。……むかつく。
軽く苛立ちを覚えながら、睨み続ける。
―――――あいつら、大丈夫かな……。
そう思ったとき、男が動いた。
やばい、来るか!?
危険を感じて身構えたが、男はただ一歩踏み出しただけだった。
何だか馬鹿にされたようで、またむかつく。
「……お前は、彼女達が好きなんだな」
オレは答えない。
このような質問は、答えないのが懸命だ。
男は苦笑し、更なる質問を投げかけた。
「どっちが本命だ?」
なぜこんな質問を―――――と思ってからはっとする。
連中は、涼峰さんの名前しか出していなかった。
茜も涼峰さんと一緒に連れて行かれそうだったが、茜はオマケだ。
つまり、オレが敵か、敵ではないかを調べている―――――のだと思う。
「プライベートなんで、いくら先輩といっても教えられませんよ?」
笑みを浮かべるオレの頬には、冷や汗が滲み出ていた。