それでも、やっぱり君が好き。


 そして、三人のヨロヨロとした男達は、気味の悪い笑みを浮かべながらオレをじりじりと追い詰めていく。キ、キモい……。



 正真正銘、絶体絶命の大ピンチだ。




 あーぁ……。オレはもう終わりかもしれない。


 でも、最期に好きな子を守れてよかったな……。




 もう既に、三人の雑魚キャラはすぐそばまで迫っている。



 
 オレが死を覚悟した、そのとき。





「―――――やめろ」




 このイケメンボイスは、焼けた顔の男の声だ。



 オレと周りの三人が驚いて彼を見る。




 その表情からはなにも読み取れない。



 眉毛ピアス男が、思わずというように戸惑って声を上げた。



 
「ゆ……祐吾(ユウゴ)……? ……どうしてだよ?」




「今日はもう戻るぞ。お前等だってケガしてんだろ?」




 優しさの含まれた言葉に、眉毛ピアス男が恥ずかしそうに唇を突き出し、耳の下あたりをポリポリかいた。




「まぁ、な」




 おいおい、不良の友情劇なんていいって……。



 三人は大人しく指示に従い、リーダーの元へ戻ってく―――――前に、ありがちな悪党の捨て台詞を吐いた。




「覚えてろよな、一年坊主!」




 本人達にとってはカッコイイのかもしれないけど、見てる側からしてみればかなりダサかった。リーダーさんでさえ苦笑いしている。




 こうして、涼峰さんと茜を襲った不良たちは、去っていった。


 ほっとして安堵の息を漏らす。




 と、立ち去ったはずの男の声が聞こえた。



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