それでも、やっぱり君が好き。



 * * * 




 どこか、遠くで声が聞こえる。


 
 オレが大事にしている、あの時間のような。





 声がだんだん近くで聞こえてきた。



 
 薄く目を開けると、目に映るのは綿雲が浮かぶ、濃いけれど薄く透き通ったような青空。



 綺麗だな、と純粋に思った。





 それからはっとして、がばっと起き上がる。




「ひぇ!?」




 小柄な身体で小さく飛び跳ね、驚いた涼峰さん。かわいい。




 そこでやっと、寝起きでぼうっとしていた脳が回転し始める。




 確か、オレは――――――――。





「そうよ、朝倉はこんなところで呑気に寝てたわ」




 どこか責めるような口調で、茜が不機嫌そうな表情をしてオレを見る。




 彼女たちはオレから少し離れた場所でしゃがみ込んでいた。なにしてんだ、こいつら。



 そう疑問に思ったけど、なんとなく悟ったのであえて口に出さず、




「やっぱりか……」




 それだけ呟いて溜息を吐き出す。





「次……何時間目? 涼峰さん」




 涼峰さんは自分から喋ろうとしない。


 だから、このままだと隅に追いやられてしまう。



 それを思ってだ。私情とか……ねぇし。



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