それでも、やっぱり君が好き。
少し実験的な意味もあって言った言葉に。
彼女は懸命な素振りを見せながら言ったのだった。
「えっと、あの……っ。も、もう、六時間目終わって、て……」
「うん」
そっか、終わってるんだ。
オレは一時間丸々爆睡してしまったようだ。
優しく微笑みながら、涼峰さんを見る。
涼峰さんは可愛いのにあまりオシャレに気を使っていないように見える。
でも、栗色の髪はふわっとして柔らかそうで、さらさら。
化粧だってしてないのに肌は白いし、睫毛は長いし……。
もう人形のようだな、と思ってしまう。
彼女は顔を俯かせながら続けた。
「ちょっと、時間……あったから、大丈、夫かなぁっ、て、ふ、二人で話して、クラス行ったんだけど、いなくって……っ」
「……うん」
まさか、まさか……!
彼女が青ざめた顔色を見せながらも言葉を紡ごうとした瞬間、茜がその口を塞いだ。
「!」
口を塞ぐと、茜は見るからに不機嫌そうに眉をひそめて口を曲げた。
「凛、無理しなくていいんだよ」
変わらない蒼白な顔で涼峰さんが頷く。