それでも、やっぱり君が好き。
……あれ? でも、前よりも青さが薄くなっているような……。
涼峰さんはさっきよりも顎を引き、へそを見るような状態になっていて表情を見ることすらできない。
自身の口を塞いでいた手を握り締め、彼女は掴んだまま手を下ろして茜を見た。
「茜ちゃん。私ね、今までずっと、逃げてきた。治そうとさえ、しなかったでしょ?」
いつも困った顔の彼女は、一生懸命、自分の胸の中にある思いを伝えていた。
対する茜は、涼峰さんの凛とした、けど涙ぐんだ瞳を見て言葉が出ないようだ。
「でも、治せるチャンスが来たんだよ。
だから、わたしは頑張りたいんだ」
にこっ、と優しく包み込むように笑った。
茜が涼峰さんの強い決意を聞き、全身の力を抜く。
そして、子が親立ちしてきた時の親のように、寂しそうに微笑んだ。
「頑張って」
うん、と頷いてオレに向き直った彼女は、さっきの凛とした表情は影もなく、もうすでに今までと同じ状態になっていた。
無理しなくていいよ……!?
危うく茜と同じ台詞が出てしまうところだった。そういう類(タグイ)の言葉をかけようと思った。