それでも、やっぱり君が好き。





 だが、そんな必要はなかったようだ。




 すー、はー、すー、はー。



 胸に左手を当て、目を閉じて深呼吸をし始めた。




 あぁ、そうか。オレは、強い意志を持った彼女を見くびってしまっていたみたいだ。



 閉ざされていた目をカッと開くと、彼女は俯きがちになりながらも続ける。




「だから、しん、ぱいになって……ここに、き、来たら倒れてたから……!」




 強く言った涼峰さんが上げた顔では、目から涙が今にも溢れ出そうな状態になっていた。


 ……ごめん。今のオレには、涼峰さんの涙を拭ってあげることさえできない。



 でも、今はできなくても、いつか必ず涼峰さんが涙を流した時に拭えるようになっているから。



 
 
 ……それにしても、オレがあっさり意識を手放していた間に涼峰さんが心配してくれていたのか。

 ……やばい。嬉しすぎる。



 オレは頬がほんのり熱くなるのを感じながら、二人に謝る。


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