それでも、やっぱり君が好き。
ちらりと涼峰さんに視線を向けると、彼女は茜を見つめたりオレを一瞬見たりと、会話に入れないなりにどうやら二人の様子を伺っているらしかった。
……正直、涼峰さんの口から聞きたかったけど。
だけど、それが本当だとすると驚くべきことだ。
茜になにを囁(ササヤ)かれてこの件を承諾したのかは分からないけど、嫌々だった涼峰さんまでもがお昼の時間を楽しいと感じてくれたということ。
これは、男慣れにも繋がることだろうし、なにより凄く嬉しい。
楽しいと感じていたのはオレだけかもと思っていたあの時間は、皆が楽しいと感じてくれていたんだ。
なんだ、じゃあ安心、これからもお昼一緒に食べれると安堵していると、茜が深い溜息をついた。
「でも、さっき朝倉もうさよならみたいになってたし……もういっか。別に一緒にお昼食べなくても」
「「えっ」」
オレと涼峰さんがぱっと茜を見た。
今の小さな声は涼峰さんだ。
涼峰さんとハモったことが、このことにえっ、と言ってくれたことが嬉しくて、こんな状況だというのに頬が緩んでしまう。
「えっ、なんでだよ。一緒に食べようぜ」
「……ニマニマしててキモいんだけど」