玲汰、知ってる?
□「終わらなきゃいいのに」
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そして1週間が過ぎて約束の日がきた。
莉緒の服装は膝丈の白いワンピースにスニーカー。黒いキャップを被ってキャラメル色のリュックを背負っていた。
駅に向かって、そこから電車に乗った。
……そういえば莉緒と電車に乗ったのはいつ以来だろう。
そう考えると俺たちの行動範囲はいつも決まっていた気がする。だからこうして遠出をするなんて、なんだかとても新鮮だ。
「食べる?」
エアコンがついている車内で俺たちはタイミングよく隣同士に座ることができた。
莉緒はリュックからフルーツ味の飴を取り出す。味が5種類もあるのに俺たちは同じ味の飴を選んで口の中で転がした。
「このデートって俺がリレーで1位になったから行くんだよな?」
「ん?」
「なんでお前が行き先を決めるんだよ」
どこに行きたい?とか、そんなことは一切聞かれずにこの日を迎えた。別にプランがあったわけじゃないけど、俺なりに一応、聞かれた時の答えはいくつは用意してあったのに。
「だって私の行きたいところに連れてってくれるって言っただろ?」
記憶を遡ればそんな話をしたような気もする。
たしかケーキバイキングの帰り道だっけ。
「いいじゃん。なんでも。一応、玲汰と私の初めてのデートなんだし?」
莉緒がくしゃりと笑って、長い足をバタバタとさせながら窓の外を嬉しそうに見つめていた。
……なんだよ、ちょっと可愛いこと言いやがって。
そもそもデートという言葉に違和感はあるけれど、こういうのも楽しんだ勝ちだから細かいことは考えないことにした。