玲汰、知ってる?


「う……目が回った」

ジェットコースターを乗り終えた俺はまだ地面に足が着いている感覚がしなかった。

安全バーを下ろして、あの直角のレールを登っていったことは覚えてる。ただそのあとの急下降で記憶がプツリと切れた。


「じゃあ、次はあれ」

「……え」

莉緒が指さしているのはバイキングという乗り物。海賊船の形をしていて、ゆらゆらと揺れまくるアトラクション。

だから嫌だったんだ。こいつと遊園地に来るのは。


むかし一度だけ両家族で遊園地に行ったことがあって。その時もこうして莉緒の乗りたいものに付き合わされた。

俺と違って莉緒は大の絶叫マシン好き。


ジェットコースターにバイキング。その次はフリーフォールという高さ15センチから勢いよく落ちるアレに乗せられた。

もう限界。このままだと俺の身が持たない。


「次は……」

「待って!次は俺が決める!」

無理やりパンフレットを奪い取って、絶叫マシンエリアから遠退いた。なんとなく揺れが少なくて子どもも乗れる乗り物を選んだ結果……。

「なにこれ」

莉緒はすごく不満そう。
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