玲汰、知ってる?


「なにこれじゃねーよ。可愛いキリンがいるだろ」

「偽物じゃん」

「ここに本物がいたらヤバいだろ」

それはサファリエリアにあるアトラクション。


ゼブラ柄の乗り物に乗って周りにいるキリンやゾウを見るだけのもの。

スピードはゆっくりで俺たちの前を走るマシンには1歳ぐらいの女の子が乗ってるぐらい子ども向けの乗り物だ。

「玲汰はまだまだガキだなあ」なんて文句を言いながらも、莉緒は動物たちの写真を撮りまくっていた。


ゆっくりとしたアトラクションで心が和らいだら急に腹が減ってきて、気づけば時計は12時をさしていた。


「飯でも食うか」

「玲汰のおごり?」

「おごってほしいの?」

「嘘だよ。ワリカンな」

リュックを揺らしながら莉緒がレストランのあるほうへと歩いていく。「早く」と俺を手招きなんかして、これじゃ本当にデートみたいじゃん。
< 127 / 161 >

この作品をシェア

pagetop