玲汰、知ってる?


レストランに入ると店内はすごく混んでいた。

やっと見つけた席に座って、お互いに食べたいものを注文した。


莉緒はガサツで中学生の時にあいつの部屋に行った時は俺の部屋より散らかっていた。

たまたまだよ、なんてその時は言ってたけど必要なものは全部自分の手の届く範囲に置きたいタイプだから。

だけど、それは部屋に限ってのことだけ。


カバンの中も綺麗だし財布の中も整頓されている。そしてこうして食事をする時だってそう。

箸の持ち方は完璧だし、お皿に手を添える指先もなんだか品があるように見える。

邪魔にならないように髪の毛を手際よく結んで、食べこぼしなんてひとつもない。


「玲汰、口にご飯粒ついてる」

「え」

「まったく、しょうがないな」

そう言いながら俺のご飯粒を取って笑ってた。


欠点だらけの俺と、欠点が見つからないこいつ。

どうしてそんな非対称な俺たちが幼なじみなのかなって、たまに不思議に思う。
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