玲汰、知ってる?


そして俺たちは最後には甘党らしくクレープまで買ってしまった。

それは歩きながら食べることになって、莉緒はいちごが入っているストロベリーカスタード。俺はチョコが入っているチョコレートホイップにした。


「「うま」」

何故か最近よく声がハモってしまう。

なんだろう。いつもとは違う場所にきて、いつも早歩きなくせに並んで歩いて、大好きな甘いものを食べる。

その気持ちをやっぱり上手くは言えないけど、
こういうことが〝幸せ〟っていうんじゃないかとちょっと思ったりして。


「あ!玲汰!なんかヘンなのがいる!」

隣では莉緒のはしゃぐ声。

視線の先にいるのは黄色いパイナップルのような着ぐるみ。たしかトロピカルパークのマスコットキャラクターの〝トロピカルン〟だったと思う。

パイナップルの葉っぱの部分が王冠になっていて、なにかの王様なのか赤いマントまでしている。


「玲汰が絵に書いたようなクオリティだな」

「俺の画力なめんじゃねーよ」

そんなことを言いつつも結局、係りの人に頼んで3人で写真を撮ってもらっちゃったけど。


「玲汰って写真映りだけはいいよな」

「だけってなんだよ」

俺のスマホで撮ったからそれを莉緒にも送って。なんだかんだ遊園地を満喫している気がする。
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