玲汰、知ってる?

莉緒はものすごく渋っていたけど俺が煽るように「もしかして怖いの?」と聞くと「怖くねーし!」と強めに言い返してきた。 

……本当に素直じゃないな。


お化け屋敷の中はとても空気がひんやりとしていて、外は暑すぎるぐらいだから俺的には丁度いい。


「お前が前を歩け」

莉緒が命令するように言う。

音もないもしない空間で怪しげな置物だけが暗闇の中でうっすらと見える。


こういうのって怖いと思えば思うほど暗示のように怖くなってくるもので、用意されてるお化けだって所詮は作り物。

さっきのサファリエリアの時は動物のことを偽物と言ってバカにしてたくせに、作り物のお化けで怖いなんてどっちがガキみたいなんだよ。

そんなことを思いながらも、突然大きな音がしたり唸り声のような音響が聞こえるたびに莉緒の肩がビクッとなる。


……ヤバイ。ちょっと可愛くて笑いそう。
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