玲汰、知ってる?

手紙を届けてやっただけなのに、また傷口に塩を塗られたような気分だ。

そもそも俺がモテないのはモテ期がまだ来てないからだ。まあ、人生で三回はあると言われているその時期が到来する気配もないんだけど。


「堂々と中庭でイチャつくなよ」

教室に戻ると杉野がニヤついた顔で言ってきた。


「え、誰が?」

「誤魔化すなよ。ここから中庭は丸見えだって知らねーの?」

窓を外を確認すると確かにさっきまでいたイチョウの木がよく見えるけど問題はそこじゃない。

どうしたら俺とあいつがイチャついてるように見えるの?帰ってきた俺の顔を見て察してくれよ。


「本当可愛いよな。立花さん」

スマホのゲームを操作しながら杉野が言う。


「え……まさか狙って……」

「いや、俺彼女いるし」

ああ、そういえばそうだった。

俺と同じでゲーム好きのくせに日常生活はしっかりとリア充していて杉野は俺とは違う。


「なんで立花さん彼氏いないんだろ」

「俺に聞くなよ」

「お前以外に誰に聞くんだよ」

「………」
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