玲汰、知ってる?

俺と話さないつもりなら別にいい。むしろ今まで困り果ててたから清々する。

それからも莉緒とは何度か校内ですれ違ったけど、俺はあえてそっちを見ないようにした。

昼休みには中庭で3組の女子とお弁当を食べていて、そういえばこの窓から丸見えだって忘れてた。


「そういえばさ、また立花さん3年の先輩に告られたらしいよ」

隣で同じように中庭を見ながら杉野が言った。


「へえ」

俺は購買のメロンパンを食べながら興味なさげに返事をした。

「立花さんに彼氏ができたら寂しいだろ」

「いや、ないない」

寂しいとかあるわけがない。

ってかあいつを手懐けられる人がいるのかどうかだけど、もしいたなら俺は両手を挙げて喜ぶよ、きっと。

そして放課後になって帰りのホームルーム。


「前から言ってるけど来週からは中間テストが始まるからなー!赤点取ったら進級も危ういからみんなちゃんと勉強しとけよ」

……中間テスト?

聞いてない。ってか来週って土日挟んで月曜日からってこと?あと2日しかないんだけど。


「ま、前澤さん。中間の範囲って……」

唯一、話しかけられるようになった隣の席の前澤さんに聞いてみた。


「んー、ここからここまで。あとは数学Aと英語と科学と古典とそれから……」

教科書をドサッと机の上に置いて説明してくれたけど、その範囲が広すぎてすでに頭が真っ白だった。
 
< 33 / 161 >

この作品をシェア

pagetop