玲汰、知ってる?

俺ははっきり言って頭が良くない。

今までどうテストを乗りきってたかというと、
やっぱりあいつ。

小学校、中学校とテスト前日に莉緒が出そうな箇所を俺に丸暗記させてくれたから。


強制というか拷問に近いやり方だったけど、何故かあいつの山勘はマジで当たる。

指定した箇所はすべてテストに出るし、あいつが答案用紙を作ってるんじゃないかってぐらい。


莉緒がダメだとすれば頼れるのは杉野だけ。

土日に勉強教えてくれと頼んだら、彼女と勉強するからムリだと断られた。

また彼女かよ。たまには俺を優先してくれよ……
とはもちろん言えない。


さて、どうしようか。

俺は意気消沈のまま帰る準備をして、昇降口に向かうと莉緒が傘立てに寄りかかりながらスマホをいじっていた。

俺には気づいていない。

もしかしたら友達と待ち合わせしてるのかもしれない。


莉緒のブレザーのポケットからはウォークマンのコードが繋がれていて耳の近くでイヤホンがゆらゆらと揺れていた。
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