玲汰、知ってる?
■「お見通しなんだよ」
その日の夕方。俺は制服から部屋着のスウェットへと着替えて母ちゃんがパートから帰ってきた。
手にはスーパーの買い物袋。衝動買いはいつものことだけど今日はやけに食材が多い。
……誕生日だっけ。いや、母ちゃんは9月だし俺は12月だ。
「ちょっと玲汰。ゴロゴロしてないでそこら辺のもの片しておいてよ」
リビングのソファーで寝転んでいた俺に母ちゃんがため息をつく。
「早くしないと莉緒ちゃん来ちゃうわよ」
片そうとしていた手がピクリと止まった。
「……は?なんで?」
「莉緒ちゃんからメール来てたよ。玲汰に勉強教えてほしいって頼まれたから今日から二日間うちに泊まるって」
「はあ?」
待て待て。そんなの聞いてない。
勉強教えてくれとは頼んだ。でも泊まりでなんて言ってないし二日間だなんて……。
俺の気持ちとは裏腹に母ちゃんは上機嫌で莉緒の好きなハンバーグやポテトサラダを作りはじめた。しかもデザートのプリンまで買ってきてやがる。
一個300円もするプリンだし、俺には98円ので我慢しろって言うくせに。