玲汰、知ってる?
騒がしかった週末の最終日。
明日はいよいよ中間テストだし、今日こそ本気を出さないとマジでやばい。
「おい、ふざけんな」
午前中に初日に宣言していた残りの三教科を終わらせて、午後からは今までの復習。
莉緒の俺への教え方も過熱していって、今日はさらに怖い。
「なんでここのスペルいつも間違えんの?もうこれで何回目だよ。絶対この単語はテストに出るんだよ。間違ったらマイナス2点。こんな基本的なスペルなんて猿でも間違えねーよ」
「……はい、すいません」
猿は言い過ぎだろと思ったけど、もう逆らわない。なにがなんでも赤点は避けないとマジで笑えないことになるから。
普段使ってない脳をフル回転させて、なんとか中間テストの範囲をすべて頭に叩き込んだ。
「玲汰、莉緒ちゃん家まで送っていきなさい!」
夕方になって莉緒が帰る時間。
もう俺の頭は数式や英単語でパンパンなのに、
母ちゃんの叫び声で覚えたものが抜けてしまいそう。
「変質者がいたらどうするの?早く行きなさい!」
「………」
だからこいつは変質者に遭遇しても背負い投げできるぐらい強いんだってば。
でも一応世話になったし、俺は莉緒を家まで送ることになった。