玲汰、知ってる?
□「ちょっとカッコよかった」



それから時間は過ぎてカレンダーは6月になった。

ちなみに中間テストの結果はなんとか全ての教科は平均点以上取ることができた。

しかも大嫌いだった数学と英語がびっくりするぐらい良い点数で杉野からはカンニングを疑われたぐらい。


あいつが絶対に覚えとけと言った箇所はやっぱり全部出て、頭に叩き込んだ勉強はひとつも無駄にはならなかった。

莉緒は俺の結果に『当然だろ』とドヤ顔をして、あいつの答案用紙を見ると九科目ほぼ満点でさすがとしか言いようがない。


一体、何者なんだろう。

16年間一緒にいるくせに時々思う。


「あ、3組体育なんだ」

休み時間。隣で杉野が炭酸飲料を飲みながらジャージ姿で中庭を横切っていく女子たちを見た。

横並びで楽しそうに歩く姿。その中にいる莉緒と目が合って生意気そうにべーと舌を出す。


「なにあれ、立花さん可愛い……!」

「………」

杉野の可愛いポイントがどこなのかよく分からないけど、あいつが放つオーラみたいなのはちょっとだけ分かる。

特にこうして俯瞰敵(ふかんてき)に見ると余計に。
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