玲汰、知ってる?
今まで何度も言われてきた。
幼なじみに意外もくそもないと思うけど、遠回しに釣り合わないという意味なんだと思う。
昔から家族のような関係でも俺たちに血の繋がりはないから似てるところなんてひとつもないし、ましてや趣味も思考も正反対。
だからよく『ふたりの時なにを話してんの?』なんて聞かれることがあるぐらい。
どうやら俺はみんなの人気者であるあいつの幼なじみとしては役不足らしい。
そんなことは俺だって気づいてる。
だってあいつは出逢ったガキの頃からキラキラしてて俺を引き立て役にしてどんどん輝きを増していく。
でもそんなのは周りが勝手に決めたこと。
あいつは俺を引き立て役なんて思ってないし、
人気者になろうともしてない。
俺だってお前を特別扱いしたことは一度もねーよ。気を遣って隣に並ぶことを躊躇したことだってない。
「……立花さんっ!」
すると、体育館に大きな声が響き渡った。
一気に騒がしくなる空間。よく見るとコートの中で莉緒が倒れていた。
「どうしたの!?ボールでも当たったの?」
すぐに近くにいた女の先生が駆け寄る。
「い、いえ。なんかフラフラしてるなって思ったら突然……」
「貧血かしら……。男の先生はみんなグラウンドのほうにいるし早く保健室に運ばないと……」
先生が腕を引っ張ろうとするけど、体の力に抜けた莉緒を動かすことができない。