玲汰、知ってる?

この間から、まるで誰かに邪魔されてるみたいに話が前へと進まない。

そんなタイミングの悪さも俺らしいといえばそうだけど、このモヤモヤ感が蓄積されていくのは居心地が良くない。

その気持ちをぶつけたからなのか全員参加の綱引きは俺たち1組が勝ち続けた。


それから昼の休憩を挟んで午後の部がはじまった。

杉野は種目がひとつ終わるたびにトイレの数が増えていって、俺もなんだかお腹が痛くなってきた。


「おい」

3年生の棒倒しを応援席で眺めていると、莉緒が隣の椅子へと座った。他のクラスメイトたちは競技が見やすい別の場所に移動していて、並べられた椅子はどこのクラスも空席が目立つ。


「ひと口ちょうだい」

俺の飲んでいたスポーツドリンクを指さす。


「自分で買ってこいよ」

「自販機まで遠いじゃん」

まだいいと言ってないのに莉緒は俺のペットボトルを奪ってごくごくと飲み物を飲んでいく。
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