玲汰、知ってる?

そして最後の競技の招集を知らせるアナウンスが響いて、俺は杉野とグラウンドの中へと入った。

ルールだからしっかりとハチマキを頭にして、
念のために靴ひもを固く結ぶ。


1組から6組までが並んで、第一滑走の人がスタート位置についた。グラウンドの長さは一周200メートル。ひとり半周ずつ走って、次の人にバトンを渡す。

4番目の杉野から俺はバトンを受け取って、アンカーの人だけがひとりで一周をしてゴールすれば終わり。

対角線の位置で控えている杉野の緊張がこっちまで伝わってきて、俺は邪魔にならないように腰を低くした。


「では、位置について。よーい」

先生がスターターピストルを持って、その手を上に挙げる。

最後の種目。一番盛り上がる瞬間。


「どんっ!」

わーっ!という歓声と共に最初の人が走り出した。
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