チョコミントが溶ける頃に
 悪いけど、生嶋さんに理解の時間を与える余裕は無かった。


 ぼくも恥ずかしいし、生嶋さんも恥ずかしいだろう。



 門を出ると、男女二人で走るぼくたちを生徒や通行人がちらりと見た。





 少しの距離しか走らなかったと思う。


 なのにも関わらず後ろからハァハァと荒い息遣いが聞こえてくると、ぼくは走りをだんだんと遅めた。運動が苦手なのだろうか。



 走っている時に冷たい冬の風が肌を刺して、体の中は熱いけど、体の表面は冷たい。




 ぼくは後ろを振り返った。



「大丈夫?」



 生嶋さんは乱れた息を整えながら、笑って返した。



「……大丈夫。いきなり走りだして、ちょっと……びっくりしたけど」


「そっか……ごめん。見てた人がいっぱいいたから」



 ぼくがそう言うと、生嶋さんはそれに気付いていなかったようで、驚いた顔をし頬を赤く染めた。



「そ、そうだったんだ……。あ、あの、ありがと」



 ううん、と微笑むと、取り敢えずどこへ行って話を聞こうかと考えた。


 
 ぼくたちが通っている高校は駅の近くで、少し歩くと商店街やゲームセンター、大きなお店が見えてくる。


 ここは商店街に行くまでのちょっと長い道だ。


 普通に住宅やお店、塾があり、道を通ると自然に目に入ってくる。



 うーん、確か近くに公園があったはずなんだけど……。

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