チョコミントが溶ける頃に
そのままぼくたちは煌めく噴水を眺めながら、購入したものを無事食べ終えた。
途端、また何をするかという話になる。
「どうする? 何か乗る? ……それとも、帰る?」
正直、もう帰るとなると少し淋しいような、もっといたいような気持ちがこみ上げてくる。
密かに帰るなどと言わないで、と願いながら彼女の返答を待った。
考えた間が空いて、彼女は口を開く。
「じゃ、じゃあさ……あの、最後にかっ、観覧車乗りたいな……」
か……観覧車……。
この単語を聞きぼくは一瞬、身体が硬直してしまった。
遊園地に来たのなら、もしかしたら、もしかしたら……と小さな期待を寄せていた乗り物。
まさか、本当に乗ることになってしまうなんて思いもよらなかった。
生嶋さんが上目遣いでぼくを不安そうに見上げている。
――――――まただ。生嶋さんのちょっとした仕草に、驚くほどあっさりと感情が掻き立てられる。
これを無意識でやっているのなら、意外と小悪魔だよ……。
観覧車に乗る姿を想像するのを自制し、ほんのり熱を感じながら頷いた。
「……いいよ、乗ろっか」
「……本当に? ……えへ、ありがとう……」