チョコミントが溶ける頃に



 ﹏﹏﹏﹏﹏﹏ッ!




 ぼくはこの雰囲気の中に身を投じていられなくなり、椅子を引いて立ち上がった。



 きっと、今の自分の顔はとてもじゃないけど彼女に見せられるような顔ではないと思う。……恋愛に慣れていないってことがバレバレだ。




「じゃ、じゃあ行こっか!」




 彼女にくすっと微笑まれながら、ぼくたちはこの後ろに見える観覧車に向かって足を進めた。





 * * *



 夜の時間帯ということもあり、噴水だけでなく園内の様々なものが、イルミネーションによって色とりどりに光り輝いている。



 そういえば、入園口にクリスマスツリーがあったっけ。



 まだ十二月に入ったばかりだというのに、世間は季節を先取りしすぎだと思う。




 
 そんなことを思いながら自分の周りを改めて見てみる。



 すれ違う名も知らない人々の中にはアニモンキャラクターの耳を付けていたり、グッズを身につけていたり。


 生嶋さんだったら犬の耳が似合うかな。



 観覧車に乗った後、お土産を買ったり少しは一緒にいられるのだろうか。



 学校は同じだけど、クラスは違うから話すこともないし、できることといえば見つめることだけ。




 このデートが終わったら、ぼくは……。




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