チョコミントが溶ける頃に


 ううん、まだぼくにその勇気は無い。




 だからせめて、アニモンランドに行こうよ、って誘おう。


 今度は休日に来て、また二人で楽しみたい。



 まぁ生嶋さんがOKしてくれるか分からないし、予定が合うかどうかも分からないんだけど。





 観覧車に乗るべく並んでいるのは案の定、カップルしかいなくて、どこもかしかもイチャイチャイチャイチャ……。



 カップルもどきのぼくたちはちょっと会話を交わすくらいしかできなかったけど、今日だけは生嶋さんとカップルに見えていたらいいな。


 ……なんて、ぼくの小さな期待。





「それではいってらっしゃいませー」




 そんな声と笑顔と共に送り出され、二人が乗った箱は徐々に上へ昇っていく。




 彼女は椅子の上で膝立ちし、身を乗り出してここからしか見えない景色を眺めていた。




「すごーい……。すっごく高いし、イルミネーションがキラキラしてて綺麗……」




「だね……」




 ぼくも自然と息を呑んでいた。




 人がゴミのようとまではいかないが、小さく見える人々を上から見下ろしているというのはなんとも不思議な感覚だ。



 ジェットコースターがゆっくり上がっていくのも見えるし、遠くのくるくる回るアニモンのメリーゴーランドも、なんでも見える。


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