チョコミントが溶ける頃に



 そんななんでも見えるゴンドラの中でも、君の心だけは見えない。



 何を思っているのか、何を感じて笑っているのか。




 ぼくはこんなにも緊張しているのに、どうして彼女はこんなにも平然としていられるのだろう。




 …………あぁ、そうか。


 
 ぼくを恋愛対象として見ていないからか。




 あーあ、一人で舞い上がっちゃって馬鹿みたいだ。



 デーする前、期待して裏切られたくないから必死で勘違いしないように気を張っていたのに。




 上がっていた気持ちが急速に冷めていくのを、自分の身体の中で感じた。




 いつの間にか生嶋さんは膝の上に細い手を重ね、真っ直ぐにぼくを見ていた。




 さっきまで目も合わせられないくらい緊張していたけど、今ならできる。



 ぼくも彼女と同様に、彼女の目をまっすぐ見据えた。





「……チョコミントって、なにかに似てると思わない?」




「……え? チョコミント?」




 唐突な謎の質問にぼくは耳を疑った。



 彼女はうん、と頷いただけで、微笑を浮かべて今まで通りにぼくを見つめる。




 チョコミントがなにかに似ている? どういうことだかさっぱり分からない。水色と茶色の組み合わせのものってあったかなぁ。

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