チョコミントが溶ける頃に


                 ・・・・・
 生嶋さんが体を少し動かし、綺麗なアクアの髪が揺れる。




 ――――――ぼくの髪色は、茶色。




 もしかして、こういうこと?





 ぼくが閃(ヒラメ)いた顔をしていたのだろうか、彼女が表情を明るくさせて「分かった?」と問いかけてきた。




 え、でもこれ言うの恥ずかしいし、間違ってたらもっと恥ずかしいんだけどな……。




 笑われてしまっては嫌なので、一度彼女に念を押しておく。




「間違ってたら恥ずかしいから、笑わないでよ」




「ふふっ。どうだろうね?」




 えっ。笑わないことを約束してくれないの?




 ……まぁでも、うん……言うか。



 この言葉には、まだ言えないぼくの気持ちが一粒ほど隠し味に入れられている。




「……ぼくと……生嶋さんの髪の色?」




 
 自然と小さくなってしまったぼくの声だけど、静寂が支配していたゴンドラの中では普通に、それどころか良く通って聞こえた。  



 あぁ、違ったら恥だ……。   


 絶対「何言ってんのこの人……」っていう目で見られて引かれる。



 っていうか、多分違う。九九、九パーセント違う。

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