チョコミントが溶ける頃に



 恐る恐る伏せていた目を開くと、彼女は――――――驚いてから、とびきり嬉しそうな表情に移り変わった。



 これはもしかして……合ってた?





「正解! 世尾くん、よく分かったね」




 すごーい、とでも言いたげな澄んだ水色の瞳をぼくに向ける。




「いや、なんとなく……。でも合ってたなんて驚いたよ」




「そうだね〜。正解してくれて、嬉しいよ」




 頬を朱く染めながらくすっと笑う生嶋さん。



 こほっと咳をして息を吐くと、ゴンドラの近い天井を見上げて喋りだした。





「私と世尾くんはチョコミントに似てる。



私ね……恋も、チョコミントに似てると思うんだ」




 ぼくは黙って彼女の話を聞く。




「甘くて幸せで、でも辛くて苦しくて……。恋にそっくりでしょ? 



簡単に溶けてなくなってしまうのも。




そんなチョコミントが私、大好きになっちゃったんだ」





 話し終わると生嶋さんは。



 
 柔らかい笑顔でぼくを見、形のいい唇を開いた。






「私、世尾くんのことが――――――




ごほっ、ごほっ、けほっ…………」





 笑顔が一転、苦痛の滲んだものに変わる。




 口を手で抑えた彼女は、自分の手の平を凝視しながら目に涙を浮かばせた。




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