チョコミントが溶ける頃に
その言葉に、背筋がゾワッとする感覚を覚えた。
「そ、それってどういう……」
ぼくの言葉はドアが開くガラガラ、という音によって掻き消された。
『手術中』のランプはもう光は消えていて、部屋の中からよくテレビや漫画で見るような衣服を身につけた男性が出てくる。
生嶋さんのお母さんは、出てくると待っていましたとばかりにその医者にすがりつくようにして尋ねていた。
「幾羽は……幾羽は助かったんですか……?」
医者はマスクを下にずらし、懇願するような彼女を見つめながら言う。
「現在の技術では、これを防ぐ術はありません……。
もってあと数日でしょう。かなり衰弱しています」
あと、数日――――――。
医者から告げられた言葉はあまりにも重すぎて。
生嶋さんのお母さんは嗚咽を漏らしながら涙を流し、そんな妻の肩に先程と同様に手を置いて、お父さんの方は暗い表情で下をじっと見つめている。
ぼくはあまりにも衝撃的な知らせに、ただ呆然と立ち尽くすことしかできない。
四肢(シシ)は震え、頭の中では色々な思いがぐっちゃぐちゃになって次から次へと飛び出してくる。