チョコミントが溶ける頃に




 森閑(シンカン)とした室内には生嶋さんのお母さんの鼻をすする音だけしか聞こえなく、誰一人口を開こうとしない。




 まだ目を覚まさない生嶋さんに視線を移す。




 デートしていた時よりもやつれて見える。



 やっぱり全体的に細くて、大きなベッドの上ではとても小さく見えてしまう。




 今日掴んだ生嶋さんの腕を思い出し、胸がきゅっと締め付けられる。



 
 そんな状態で、どうしてデートなんて……。



 今から、というのに驚いたあの時だけど、もしかしたら……彼女は残された時間が少ないことを悟っていたのかもしれない。




 薄々ぼくは体調悪そうなのに気付いていたのに、なにもできなかった。


 あの時ただの風邪だと思っていなければ、もう少し大人しいアトラクションだけを乗っていれば、と自分にどうしようもなく腹が立つ。



 
 どんなに後悔しても今の状況が変わるわけじゃない――――――――そんなことはわかりきったことだ。


 でも、自分を責められずにはいられなかった。




 もしかしたら、いっそのこと自分のことを集中的に責めて欲しいのかもしれない。


 生嶋さんのお父さんは、思い詰めることはないと言ったけど。





「う……」




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