チョコミントが溶ける頃に
ここに来るまでに考えておいた話題はひとまず温存しておいて、まずは聞くことを聞いておかなければならない。
表情を固くし、二つに折られた布団に視線を落とす生嶋さんの顔を覗きこむようにして、ぼくは首を傾げた。
「体調、大丈夫?」
彼女は固くなっていた表情を一気に緩め、えへへ、と得意気に笑う。
「なんか今日は調子いいんだ。……世尾くん、あの日からずっと来てくれてありがとう。すっごく嬉しい」
そう言って幸せそうに口元を綻(ホコロ)ばせる生嶋さん。
もうすぐ死が訪れるかもしれないというのに、よくも笑顔を浮かべられるものだと尊敬する。
それに、まただよ生嶋さん﹏﹏!
言葉をもっと選ばないと、男子なんか皆勘違いしちゃうんだから。
彼女がモテる理由が分かった気がする。
そんなことを思いながら、彼女の言葉に相槌を打つ。
「あ、いや、ぼくが来たかったから大丈夫。――――体調いいからって、調子に乗って無理しちゃダメだよ」
「分かってるよ。大丈夫」
といっても彼女には無茶してデートをしたという前科がある。
ほんとに、と思ったけれどあえて口をつぐんだ。