チョコミントが溶ける頃に
でもね、高校である人に再会して……初めて生きててよかったな、って感じたの。
神様はきっと、彼に会わせる為にわたしの命を伸ばしてくれたんだなぁ……ってロマンティックなこと考えちゃった」
愛しそうにくすっと笑う生嶋さんを見て、ぼくは岩石が頭に落ちたようなショックを受けた。
う、うそだろ……!?
一瞬あの三人の誰かかなって、女子かと思った。けど、『彼』って……!
この笑い方といい赤く染まった頬といい。
これは、恋をしている乙女の表情(カオ)。
早くもぼくは失恋だよ……。なんて呆気ない。
でも、こんなことを考えている場合じゃない。
生嶋さんは勇気を出して打ち明けてくれたんだと思うから。
心の隅で酷く落胆し、でもそれを精一杯の力で隠しながら言った。
「ありがとう、教えてくれて。……その人に再会できて良かったね」
こんなこと、本当は言いたくない。
けど、彼女が言う彼の存在で生嶋さんの人生が彩られたのなら、それは喜ぶべきことなのだ。
ぼくには彼女の人生に色を塗ってあげることはできなかった――――そういうことだ。