いたって普通の恋愛話


色々探してたら、ふと、一つのケースがしかいに入った。


「あぁー‼︎これ可愛い!」


見つけたのは、白の背景で威嚇している一匹の猫のシルエットという、シンプルなケース。



「おっ、それ俺の弟と、一緒のだ〜。ネコ好きなの?」



なんと、敬樹さんには弟がいたらしい。



「はい!でも親がアレルギーなんで、飼えないんです。」



「ヘェ〜そうなの?俺ん家飼ってんだよ、ネコ。」


何やら横で携帯をいじり始める。



「ほら」



と言いながら見せられた画面には、一匹の白い猫。毛が長くて、上品な猫。迷彩の首輪をしていた。



「かっわいー!名前は何ていうんですか⁉︎」


「ポチ」


「え、……ネコなのに?」


すると敬樹さんがいきなり吹いた。


「ぶはぁぁ!やっぱり反応が面白いね君!うん、猫だけどポチ、弟が付けたんだ。」




弟さんのネーミングセンスを疑う。



「 でもすっごい可愛いですねー‼︎」



「ありがと!それより、ケース買う?もうちょっと見てみる?」



「あ、そうでした。はい!買います!」


一目見た時から私はこの猫に心を射止められていた。


「そっか、気に入ってくれて俺も嬉しいよ。」


と言いながら頭をぐしゃぐしゃと撫でられる。

でも、力の入っていない、優しい物だった。








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