いたって普通の恋愛話
もう秋に入って来たからか、木に紅葉が見え始めてる。
少し肌寒い。
でもそんなところが私は好きだ。
重いゴミ袋を両手に抱えている、私の手は限界にきていた。
____スッ
急に腕が軽くなった。
「よっ」
「木村君⁉︎いいよいいよ私持つから!」
「いいの、持たせてよ?それに高倉、フラフラだったよ?」
「っそ、それは…」
「ほら、俺の勝ちな?大人しく従って下さい!」
「…ごめんね?」
「俺、ありがとうって言って欲しいな」
少しニヤニヤする彼。
「……ありがとう」
「よろしい」
素直だな、とハハッと、彼が笑う
ちょっと照れくさい。
数学の時以来喋ってないな…
でもちゃんと話せてる、よかった。
ようやく、ゴミ捨て場について、ゴミ袋を置いて帰る。
「なんで木村君ここにいるの?」
そういえば、そうだ。
ゴミ捨てにくる人以外、こんなところに用がなる人など、そうそういない。