いたって普通の恋愛話
腕で顔を隠しているようだが、そんなもの隠せていない。
それが余計私の、母性本能をくすぐった。
「ップ、あはははははは!」
「ほら行くぞ!寒いし!」
と言いながら彼は、私の髪をぐしゃぐしゃして、先に行く。
「ごめんごめん!帰ろっか?」
私は慌てて木村君の後を追う。
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風が吹いて何枚かの色付いた葉が落ちる。
「笑うなよ……ったく
人の気も知らねぇで」
ボソっと言った彼の言葉は、私には聞こえなかった。