純愛恋桜


「今、文久三年の三月ということは
将軍が帰東する話が出ていると思います。」


「あぁ、しかし
それは延期されていていつになるかわからないという話だが、わかるのかい?」


「えぇ、四月二十一日
浪士組は将軍家茂様の下坂に従い、道中警護にあたることになる

そして、五月十一日に
家茂様は摂海巡察を終えて帰京するはずです。」


零の話に近藤も
他の男たちも驚いた。

どうせ当てずっぽうで
それっぽい予知でもするんじゃないかと思っていたのに対し

零は自分たちにもどうなるかわからない出来事の

正確な日付まで言ってきたのだ。



「まだ俺は納得できねぇな・・・
そんなん調べりゃどうにでもなる情報だ。」


しかし、それだけでは納得できない男が一人口を挟んでくる

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